ベンガラ柿渋塗り考

いよいよ柿渋座の本丸であります「柿渋塗り」が始まります。そもそもなぜ柿渋塗りなのか、どうやるのか、結果得られる効果について考えてみようと思います。

1.なぜ柿渋か?
まずは、坂本善三美術館の建設当時の資料を調べてみることに。作品として掲載されている住宅建築1995年10月号で外壁板壁の仕上げを見てみると、「クメゾ-拭取り」と記述されていました。クメゾ-とはなにか。調べてみると幻の伝統塗料「久米蔵」なるものを意味しているようです。「久米蔵」は自然素材のみを原料とした植物油を一切使わない完全水性塗料であり、着色塗り+仕上げ塗り(柿渋)という工程を踏みます。現在の板壁に残っている塗料の具合(触ると手に色粉が付着する)や、ベンガラ柿渋の経験者へのヒアリングなどから勘案して、当館に塗られているのは「ベンガラ柿渋塗り」であろうという結論に至りました。

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「クメゾ-拭取り」仕上げの記述 「住宅建築1995年10月号」より
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開館当時の写真 黒味の強い茶色で塗られている
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開館当時のアップ写真 黒味の強い茶色で塗られている

2.ベンガラ柿渋塗りの準備
そこで今回は柿渋にベンガラを混ぜて塗る計画としました。
用意するのは、柿渋・ベンガラ・墨汁(本来は松煙ですが希少で高価なので代用)です。

着色の肝となるベンガラは、あらかじめ原料の黄土を土鍋で焼いて作りました。(柿渋座では七輪を使ったベンガラ作りも体験して頂く予定です。)出来たベンガラをふるいにかけて、残ったダマは乳鉢またはすりこぎで潰します。ベンガラだけでは赤茶色なので、今回は建設当初のイメ-ジに近づかせるため、墨汁を使って黒味を加えていきます。原料自体に個体差があり、配合を数値化しにくいことから、色調合は絶対的な冴えわたる勘を信じて行いました。実際それしかない。。ベンガラと墨汁を混ぜて作った「色種」に、柿渋を混ぜると「ベンガラ柿渋」の出来上がりです。

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右から、柿渋(昨年我々が作ったもの)・ベンガラ・墨汁
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右が黄土、左が焼いて出来たベンガラ
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乳鉢でベンガラのダマをつぶします
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ベンガラに柿渋を少々入れて混ぜたところに墨汁を投入
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着色の肝となる色種

3.ベンガラ柿渋を塗ってみる
外壁面を空雑巾でこすって、手に付着する粉成分を拭き取ります。
マスキングテ-プとビニ-ルでばっちり養生したらいよいよ外壁に塗っていきます。ベンガラが沈殿しやすいのでこまめにかき混ぜながら木目に沿って刷毛で塗ります。細工の細かい部分は雑巾で摺りこんでも良いです。塗ってしばらくしたら、ムラやダマが目立たなくなるように雑巾で摺りこむように拭きます。しっかり乾燥したらもう一度塗って拭き取ります。仕上がり具合を見て2回塗りまたは3回塗りとします。これで着色工程は終わりです。

続いて仕上げの柿渋塗りです。着色したベンガラはそのままでは雨風で落ちやすいため、柿渋で表面に薄いコ-ティング膜を張る必要があります。我々が去年作った柿渋も不完全な品ではありますが、しっかりと強い膜を張っています!よし、使える!

数日すると色が濃く安定してきました。ベンガラ柿渋を塗ることで、着色による美観向上、柿渋の膜による耐水性の効果があることが確認できました。他にも防腐性や除菌効果などあるようですので期待して継続観察したいと思います。

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試しに塗る展示棟北側の外壁 柿渋座のポスタ-そのまんま

4.おまけ
ここまで読んで頂いたあなたに柿渋座秘伝の裏技をお伝えします。
ベンガラ柿渋は原料の準備から塗装拭取りまで意外と手間がかかります。そこで編み出したのが「墨汁柿渋塗り」工法。柿渋に墨汁を混ぜて塗るというもの。着色と造膜効果があります。改善すべきは、墨汁が分離するので、アルコ-ルを少々混ぜると良いのではないかという点です。今後も研究の余地ありです。

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