柿渋座はじまりました

柿渋座の第一回目開催しました。

今回は、今後の柿渋座活動でユニフォームとして使えるようにメンバーの私服を柿渋で染めました。

今回メンバーとしてお集まり頂いたのは町内外から総勢約70名の方々。なんと二時間半かけて来られた方もいらっしゃいます。もうみなさん柿渋に対する関心と愛情が溢れ出ています。ありがたいことです。

初めて柿渋という言葉を耳にした方や、子供のころ親が漁網を柿渋に浸けていた記憶がある方、柿渋を飲んだことがある方など、柿渋との関わりも様々。年齢・性別も様々。生徒さんも赤ちゃんもいます。柿渋という共通項で集まる多様性のある場所、それが柿渋座です。そう願っていたらそうなりました。ほんとうにありがたいことです。

はじめに柿渋座の趣旨として「共同体作業の現代的価値を再提示する展覧会」であることをお伝えしました。これは柿渋座が単にモノづくり教室やボランティア活動だけではなく、近年失われつつある「結」のような共同体作業に取り組むことで、現代社会に対して価値観を揺さぶる可能性を秘めた表現活動なんですよという事です。もちろんメンバーは作業に没頭して、ああ今日も楽しかったと豊かな気持ちになる、それが基本です。しかしその光景が第三者の鑑賞する眼差しに出会った時、心動くものがあるのではなかろうかという事です。

続いて、「たねもしかけも」の意味について説明しました。建築には、即物的なモノとしての「たね」の美しさと、物語や仕組みといった「しかけ」の豊かさの両方が必要です。現代の建設システムではなかなか我々素人が「しかけ」に関わる機会が生まれにくいのですが、柿渋座では「しかけ」の当事者として主体的に取り組んで頂くことで、成果としての「たね」を実らせるきっかけになることを期待しています。

以上の熱き想いをお伝えしたのち、お待ちかねの柿渋染めをスタート。柿渋座では出来るだけ多くの工程をメンバー自ら作業して頂き、深い理解と自主性を育むことが出来るようにしています。ありがたいことに協力的な方が多く、なんともスムーズに進行して、時間いっぱいまでみなさん作業を愉しんで頂きました。

今回、柿渋染めに参加できなかった方も、次回以降の活動の際に随時染めて頂けるよう対応したいと思ってます。可能な回に可能な分だけ是非ご参加ください。柿渋座をどうぞよろしくお願いします。


▷次回: 外壁を柿渋で塗ろう

とき   2018年7月22日(日) 13:00-16:00
ところ  坂本善三美術館
もちもの 柿渋ユニフォーム、軍手、飲み物
参加費無料、定員無し、要予約
※予約・問い合わせ 坂本善三美術館 0967-46-5732

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作業工程とコツの図解
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柿渋染めエリア
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みんなで組み立てた竹物干しエリア
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それぞれの作業を持ち回りで体験します
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柿渋座のぼりの刷毛染めエリア
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柿渋座メンバーで記念撮影 キラキラです

試し染めしました

いよいよ6月17日に開催が迫った柿渋座「柿渋染め編」に向けて試し染めをしました。
梅雨の貴重な晴れ間、絶好の染物日和です。というのも柿渋は日光に当たるほど発色が良くなるので天気が大切なのです。

今回は試し染めということで二種類の柿渋で染めてみました。

まずは、先日八女ツアーで入手した中尾さんの柿渋、通称「中尾渋」です。
中尾渋の原液を水と2:1の割合で薄めて、水洗いした布物をザブンと浸けます。
しばらく浸した後、絞らずポタポタのままハンガーに吊るしてシワを良く伸ばします。
あとはお天道様におまかせ、というのが工程です。ごくごくシンプルです。

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水で薄めた中尾渋
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チャプチャプと浸します
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ポタポタのまま引き上げます

続いて、昨年我々が作った柿渋、通称「善三渋」で染めてみます。中尾渋に比べると赤みが少なくミルクティーのような色をしています。同様にザブンとつけてポタポタと引き上げる。実にシンプルです。

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「善三渋」手前から二番渋、一番渋、一番渋
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表面の膜をそっとめくって、チャプチャプ
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ポタポタのままハンガーにかけます
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それぞれ左手が中尾渋、右手が善三渋
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左手の中尾渋のほうがうっすら赤みがつよいです

しばらく日光に当ててみて色が変化していく様子を観察してみます。当日みなさんに染めていただく柿渋はどちらになるか、お楽しみに!



それから当日みなさんにはもう一つの染め体験を楽しんで頂こうと思います。それは、「柿渋座のぼり」の刷毛染めです。柿渋座のロゴマークが入った大きなのぼりです。

染め抜くロゴ部分はヌカと米粉を蒸して作られたノリを塗りつけます。薬莢を口金として再利用した「筒」でロゴを縁取りして、残りは指で塗り付けていきます。こうしておくことでノリのついた所には柿渋が染込まないようにします。

こののぼりは柿渋座の会期中、坂本善三美術館の玄関近くではためく予定です。ぜひ6月17日は柿渋染めに参加し、刷毛で自由に描いて頂きたいと思います。ご参加お待ちしております!

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甘酒のような匂いのノリ
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筒を用いて縁を取っていきます
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ノリ付け出来ました。染めるのはアナタ!

 

 

 

柿渋の旅:八女編その2

柿渋のイロハを学びに柿渋先進地の八女市に行ってきました。

次に訪れたのは、柿渋を製造販売されている八女市立花の中尾酒店さん。作業場で柿渋作りのポイントを教わりました。柿渋は年に一度、お盆前に集中して作られます。その時期の未熟で青い渋柿には、渋み成分であるタンニンが最も多く含まれているからです。中尾さんは小ぶりで渋みの強いニエという渋柿を原料にされます。昔、作業場に近いに仁合(ニアイ)という集落にあった農業試験場で品種改良された渋柿です。

中尾さんの柿渋作りの工程はとてもシンプルです。収穫した渋柿を出来るだけ早く潰し割り、去年の二番渋に24時間浸します。渋み成分が抽出された上澄み液をタンクに移してそのまま放置すると完成です。文字にすると簡単ですが、長年にわたりやってきて掴んだ勘所がすべてです。例えば、柿渋は金属に反応するので使う道具はすべて非金属です。渋柿を潰し割るお手製の機械も圧搾部分は石で作られていました。塩分も成分が変化するため接触させません。

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お手製の圧搾機
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石で作られた歯車の圧搾部分

今では貴重品となった渋度を計る道具を使って製品管理されています。温度計の先端に不思議な小粒が入っており、柿渋に沈めると渋さの分だけ浮かんできます。浮かんだ時の目盛りを読むと渋度が分かる優れものです。中尾さんの柿渋は2.5度にしているそうです。

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渋度計の先端
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渋度を計っている様子

実は、柿渋座も昨年のお盆に柿渋を作って坂本善三美術館の敷地に貯蔵しています。その柿渋を中尾さんに品評していただきました。一年物にしては色味が非常に浅く、匂いも強くない。これは果たして柿渋になっているのか不安を抱きつつ、渋度を計ると1.7度というまずまずの結果。しかしなんか変だという感触でした。

最後に、柿渋座で外壁に塗るための貴重な柿渋を分けていただきました。ありがとうございました。

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一年物柿渋のポリタンク内部
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柿渋を小分けにしている中尾さん

柿渋の旅:八女編その1

柿渋のイロハを学びに柿渋先進地の八女市に行ってきました。

古くから交通の要である城下町・八女では、農産物や工芸品を扱う商家が立ち並び、歴史ある重厚な町並みが形成されました。しかし、25年ほど前におきた大型台風による甚大な被害と空き家の増加から町並み保存の動きがおこり、修理・再生と同時に活用するためのまちづくり活動が活発に行われてきました。

今回は、ベンガラ柿渋を使った外壁改修のお話を伺う為、 八女町並みデザイン研究会(以下、研究会) 代表の中島孝行さんと、八女町屋ねっと 代表の北島力さんを訪ねました。研究会では一般市民を対象としたベンガラ柿渋塗りワークショップを過去に複数開催しており、私たち柿渋座からすると師匠のような存在。作業段取り・材料の配合・作業中の注意・片付け方などなど細やかに想像をふくらませて説明していただきました。どのような作業でもやっていく中で掴んでくるちょうどいい塩梅という部分もあるので全てが説明どおりにはいかないことももちろんあると思います。しかし、経験を元にアドバイス頂けたことは大きな道しるべとなりました。もしかしたら柿渋座に塗りに行けるかも~と言っていただけたその言葉、信じております!

その後、国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されている八女市福島地区を案内して頂きました。中島さんも保存修復に長年根気強く関わってこられた町並みは見事でした。外壁の板の多くはベンガラ柿渋が塗られており、自然な経年変化が見られます。定期的なメンテナンスが必要、触ると手に色が付く、雨に打たれると地面に色が染み出るなどなど、マイナスに捉えられることもあるこの素材を許容するオーナーさんの理解の深さも素晴らしいと思います。ベンガラの色と配合によって、赤茶~焦げ茶~黒茶とずいぶん色味が違ってきますね。今回の配合はどのあたりか、試行していきたいと思います。